私のうつ最短回復ストーリー
【体験談】My Story
vol.57
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「神様からのギフト」の小さな奇跡

前の話の続きです)

決して癒えないと思っていた心の傷は、

1、感情を下げる

2、感情に触れる

というステップを経て、最後の段階「3、感情を考える」にいつのまにか進んでいました。

 

3、感情を考える

「2、感情に触れる」という作業をすると、自分と感情との間に、適度な距離をとれるようになります。ある程度距離をとれるようになったら、今度は、その感情を「考える」ステップです。

それは、「どうしてこんなに自分は悲しかったのだろう?」とか、「本当はどうしたかったの?」とか、その出来事や感情を分析すること。この作業を行うと、感情はいよいよプロセスが進み、その出来事はどうでもよくなったり、“うらみ”に化けることなく消滅したりするのです。

私の場合は、この段階で、偶然のめぐり合わせがありました。霊視カウンセラー尚さんの著書執筆をお手伝いするという仕事のご縁をいただいたのです。

尚さんの著書のテーマは、

「つらいことが起きたとしても、その中には魂がもつ課題がある。その課題をどのように見つけて、どう生きていけばよいか」

ということ。

「今、苦しんでいる方々に希望を届けたい…」というのが著者の尚さんの思い。その気持ちに応えるべく、原稿作成をサポートしていく必要がありました。

そこで、私は、心の中の「パッケージ」を取り出したのです。

私が決定的に傷ついた、過去のあの場面。

どんな感じだったっけ。

どんな気持ちだったっけ。

どうしてあんなに苦しかったんだっけ。

どんな言葉をかけてもらえたらよかったのだろう。

私は尚さんの言葉を、「傷ついて泣いている、あの日の私」を心のすみにおいて、編集していきました。そう、それが図らずも「感情を考える」作業となったのですね。こうして、苦しかった感情は、いつのまにか、それこそ“成仏”してしまったのだと思います。

さて、ここからは、これまでだれにも話したことがない話。

その原稿はやがて、一冊の本となって出版されました。出版社がつけた書名は『神様からのギフト』です。

それよりも数年前、「2、感情に触れる」段階で、私は傷ついた心の痛みと身体感覚に名前をつけていたと書きました。

実は、こっそりつけていた、その名前は「神様からの贈り物」。

ちょっとはずかしいのですが、当時はつらさを逃れたいばかりに、「傷つくというのはこういうことだ。この痛みを知っている人だけが、本当に人に優しくなれるはず。私が決して忘れないように、いつでもそこに立ちかえれるように、神様から贈られた痛みだと思うことにしよう」と、やや強引に、一生懸命考えていたのです。

「神様からの贈り物」と名付けていた、心の痛み。それは時を経て『神様からのギフト』に変身して、世に出ていったのです。

ちょっとした偶然、でも私にとっては大きな奇跡でした。

決して癒えることはないだろうと思ったのに、いつのまにか消えていた心の傷。そして、それは、人生の不思議にまつわる光までチラッと見せてくれました。

心には回復力(レジリエンス)がたしかにある。その事実が、今の私にとって大きな勇気になっています。

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