私のうつ最短回復ストーリー
【体験談】My Story
vol.56
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心の回復(レジリエンス)を体験しました

5年前。うつ状態のさなか、どうにも心が傷ついてしまった、ある出来事があります。出来事自体はささいなこと。でもその場面は、ナイフで刺されたみたいな、自分の中の消えない「痛み」として、今日まで胸に残っています。

と、思っていたのですが…。

最近ふっと気づいたのです。

その出来事を思い出しても、なーんにも痛くない! 「そういえば、あの心の傷はどこに行った!?」と、自分でもびっくりしました。それどころか「今となってはなつかしい…」とさえ感じられるのです。

いったい何が起きたのだろう? メンタルや心の仕組みを多少なりとも勉強した今、このことを、自分なりに分析してみました。

すると、この傷つき体験こそ、感情ケアプログラムのセオリー通りの「プロセス」を踏んでいたことに気づいたのです。

「感情ケア」には基本の3ステップがあります。それは、感情を下げる→触れる→考えるという3ステップ。この出来事は図らずも、この3段階を経ていました。

1、感情を下げる

心の回復に何よりも効くのは「日薬」といわれます。年月はゆっくりゆっくり感情を下げてくれていました。

2、感情に触れる

感情ケアプログラムでは、その感情に巻き込まれないと思える程度に感情レベルが下がったら、その感情に「自分から触れてみる」というプロセスを踏みます。

ケガをしたとき、傷口からの血がひとまず止まったら、薬を塗って回復を早めるイメージ。薬を塗ることで、傷がしみてまだ痛みますが、そのぶん治りも早くなるわけです。

私の場合、直後は生々しくて、感情に触れることなど、とてもできませんでした。

でも記憶は、私が二度と傷つかないように「気をつけてね」と、何度もフラッシュバックしてくる(一種のPTSDですね)。そこで思い出すたび、自分の中の「感情を認める」作業は少しずつしていました。

最初はただ悲しくて、泣きました。そして、次は怒り。それから、悔しさ。虚しさ。「こんな小さなことで傷つくなんて、なんて弱い自分だろう」という自責の思いもありました。いろんな感情をただただ感じ、自分の中で認めるしかありません。

そして、もう一つ、なんとかしたくて、自分でやっていたことがあります。

それは、「フォーカシング」という手法。体で感じることにフォーカスを当てていく心理療法の一つです。

「傷ついた感じ」は身体のどこで感じるのか、胸なのか、お腹なのか、全身なのか。それはどんな色で、どんな感じなのか…。そして、「その感じ」に名前をつけるとしたら?も考えます。(正式な「フォーカシング」を知りたい方は、きちんとした書籍や情報を当たってくださいね)

全くの自己流で見よう見まねですが、私は、自分の傷ついた「感じ」をとらえるようにして、その「痛み」に一つの名前をつけました。やがて、名前がついたことで、傷つき体験とそれに伴う身体感覚は、私の中で「パッケージ」化されたようです。心の痛みが消えることは決してありませんでしたが、生々しい感覚はいつしか脱していました。

(次の話へ続きます)

 

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