私のうつ最短回復ストーリー
【体験談】My Story
vol.22
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UP

おまけの話

Sさんに「うーん、さすがの過剰不安ですね〜」とほめられた(?)ことがあります。今となっては恥ずかしい話で気が進まないのですが、「参考になる人もいるから、ぜひ書いて!」と下園先生からの勧めもあり、勇気を出して報告しておきます。

それは、傷病手当のこと。私は要件を満たしたため、傷病手当の支給を受けることになりました。初回は元の職場を通じて健康保険組合に書類を提出し受給。2回目以降は、組合に、自分で請求書を直接提出しなくてはなりません。心療内科の先生にも所見を記入してもらう必要があり、クリニックにはその都度足を運びます。

2回目と3回目の請求書を提出し、受給を今か今かと待っている段階で、組合から「調査書」が届きました。それは、請求書とは別に、詳しい経緯の報告を求めるもの。また、通っている心療内科に照会がいくことにも同意を求められました。

これに私は、激しく動揺したのです。「もしかして、うつ状態といっても、案外元気じゃないか、と疑われているのではないか。案外元気だと判断されたら、傷病手当をもらえないのではないか」と思ったのです。

傷病手当をもらう前提で、夫の扶養枠は入れず、年金・保険、ハローワークでの各手続きを済ませていました。それらの手続きは、当時の私にとって、かなり負担が大きいものでした。経験してみてわかったのですが、健康ならば何ということはないであろう、こうした手続きは、うつ状態にあるとなかなか大変なのです。まず、書類を読むのに疲れる。理解をするのに疲れる。足を運ぶのに疲れる。とにかくエネルギーを消耗して、ぐったりしてしまうのです。ようやく終えたそれらの手続きを、傷病手当の前提がなくなったら、最初からやり直さなくてはいけないかもしれない…。そんな風に考えて、どんよりとしてしまいました。また”入り”がないので、当然、貯金の残高も減っていく。そのことも、心細さに拍車をかけていました。

「私、元気じゃないかと思われて、傷病手当が支給されなかったらどうしよう? なんか疑われるようなことしたかな」とあれこれ考えて、ふと、最近フェイスブックの投稿をしたことに気づきました。プロフィル写真を、プロに撮ってもらった”ニッコリ写真”に変更したのです。「この写真が、元気が良すぎてまずかったかも」。たしかに、そう思ったのです。

後日、Sさんにそのことを話したところ「さすがの過剰不安ですね〜」と笑われたのでした。

結果的には、無事に受給できました。こうした事前調査は、特に珍しいことではなかったようです。今となっては笑い話にもなりますが、うつ状態とはそんな苦労があるのです。

休職、復職や退社など、会社で働いていて不調になった人は、事務手続きが必要になる場面が意外に多い。でも、元気な人がこんなこと、と思うようなレベルでも、なかなかハードルが高いのです。私の場合は、Sさんがすぐに動いてくれて「こうした調査は通常の手続きの一つ」と知らせてくれたことで、たちまち安心することができました。

各企業ではメンタルヘルス対応策が進んでいるようですが、こんな場面で、心情を理解し、ちょっとサポートしてくれる人がいるだけでも、ずいぶん救われる気がします。

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