私のうつ最短回復ストーリー
【体験談】My Story
vol.19
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耳鳴りの言い分

うつ状態は、人によってあらゆる身体の不調が出るそうですが、私の場合は「耳のつまり」。これが一つのサインでした。

8月以来、風邪をひいたときやダイビングのときのように、「耳抜きが出来ないような感じ」「耳の中でフタがパカパカしまったり開いたりするような感じ」が継続。「いずれ自然に消えますよ。それがなかったら、元気に今までどおり動いてしまうでしょう? 身体とは面白いもので、それで動けないようにしているんですよ」。このことも、何度も下園先生から、説明を受けていました。

けれども、3月に入ってから始まった、新しい耳鳴り。目をつむるとジジジジ…と、右耳が鳴り続けるという怪奇現象。これには本当に参ってしまいました。下園先生のメールには、「少し焦りが出始めた向山さんを、耳の違和感が必死に止めてくれているのです」とはありました。よく“体と心はつながっている”とはいいますが、ここまでしつこいとは! 自分のカラダの雄弁さに驚きもし、あきれるような気もしました。

とにかく早く治りたい私は、アドバイスの通り、耳鳴りに話しかける(!)ことも取り組んでみました。

「動きすぎをお知らせしてくれてありがとう。そんなに心配しないで。大丈夫だから」

きゃー、私、大丈夫か?  照れるというか、アヤシイ感じがして、なかなか葛藤するものがあります。でも、そこはぐっとこらえ、何度か話しかけみました。

「もう以前みたいに無茶しないようするから…。もう鳴らなくもいいですよ〜」

「ジジジジ…」

これといってかんばしい反応はありません。数日するうちに面倒になってきて(はっきり言ってしまうとバカバカしくなってきて)、「ジジジジ」は放置するようになりました(放置できるようになっていたというのは、一つの変化だったかもしれません)。

10日ほど経ったある日。どういうわけか、夜中に寝汗をかいて、目が覚めました。驚くほどの汗で、パジャマがべっとりするくらい。上着を取り替えて、再び眠りに落ちました。朝目覚めると、不思議な爽快感。この日を境に、「ジジジジ」は消えてしまったのです。それが4月初めのこと。桜が満開のころです。

それっきり、このタイプの耳鳴りは現れません。ただし、疲れがたまると耳がつまる、閉塞感という現象だけは残り、その後も長いおつきあいが続きます。

下園先生によると、うつ状態の身体的なサインは、さまざまなものがあるのだとか。もっとも多いのが、頭痛、吐き気、頭の重さ、下痢。そのほか、背中の重さ(痛み)、独特の胸の重さ、のどの違和感などの例もあって、人によって本当に違うのだそうです。

カラダとは、自分が思うより、ずっと賢い「システム」。自分なりの不調のサインを知り、見逃さないこと。痛みや違和感など、何か訴えてきたら、その言い分をまずは聞いてみること。その積み重ねが、蓄積疲労やうつ状態へのブレーキにもなります。実は、かつて忙しくしていたときも、体のケアは人一倍心がけているつもりでした。ですが、今思うと、気をつけているようで、全く“対話”できていなかったのだと思います。

 

さて、以下は、個人的な想像。

“ジジジジ”の耳鳴りくんの言い分は何だったの?

「もうこれ以上、今は情報を入れないで。何も聞かないで。静かにしてゆっくり休もうよ」

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